裁量労働制とは一体何なのか

2種類ある

裁量労働制は「みなし労働時間制」のひとつで、その職種によって「専門業務型」と「企画業務型」の2種類が規定されている。適用できる職種はあらかじめ定められているので、どんな職種にでも適用できる制度ではない。

みなし労働時間

労使協定により1日の労働時間を「8時間」とした場合、実際に6時間しか働いてなくても「8時間」はたらいたものとみなす。これが「みなし労働時間」だ。仮に10時間はたらいたとしても、実際の労働時間に応じた残業代が支払われることはない。

深夜残業代はもらえる

残業代は支払われないと言ったが、深夜時間帯となると話は別だ。深夜時間帯というのは労働基準法で定められたPM10時〜AM5時のことであり、社員がこの時間帯にはたらいたらば、たとえ裁量労働制といえども25%の割増賃金を支払わなければならない。

はびこる長時間労働

裁量労働制は長時間労働につながりやすいと言われている。経営陣は社員に対し「時間にとらわれずにのびのびとはたらいて欲しい」と言う。しかし、時間にとらわれずにはたらいた結果、知らず知らずのうちに長時間労働になっていたりする。残業代が出ないにもかかわらず、この事に気を留めない社員は多い。時間にとらわれずにはたらくのは良いが、時間にとらわれずに残業するのは良くない。

みなし労働時間を8時間と定めているにもかかわらず、実際には平均して10時間の労働していることが多いといった職場では、みなし労働時間を見直す必要があるだろう。この場合、1日のみなし労働時間を「10時間」とし、その内訳を「法定労働時間(8時間)+みなし残業(2時間)」とするのだ。こうすることで、残業代が給与にあらかじめ含まれる形になる。いわゆる固定残業代というものだ。みなし残業代とも言う。

こういった残業の多い会社では裁量労働制を固定残業代と合わせて採用するのが一般的だが、そうでない会社もある。「裁量労働制で残業が多いが固定残業代の規定はない」というような雇用契約の場合は、深夜残業代がきちんと支払われているか意識的にチェックした方が良いだろう。

自分の裁量ではたらく

自分の裁量ではたらくというとはどういうことだろうか。裁量労働というのは、はたらく時間や仕事の進め方などを、それぞれの社員が自律的に管理することができるはたらき方のことだ。効率的にはたらいて成果が正当に評価されることで柔軟なはたらき方ができる、ワーク・ライフ・バランス実現のための制度だ。

「裁量労働」と言いながらもはたらき方に裁量がなかったり、出退勤の時間に口出しをされることがあると問題だ。本来、裁量労働制のもとでは、時間管理も個人の裁量に任せることになるので、出退勤は自由である必要がある。

風紀が乱れるという理由から社員が自由に出退勤するのを嫌う経営陣が居るとすれば、そもそも別の労働時間制への見直しをおこなうべきだろう。制度と実態の乖離によって裁量労働制の適用が否定され、実労働時間分の残業代の支払いを命じられた裁判例などもあるので、会社経営をする者は気をつけたほうが良い。

時間は無限ではない

人はいつか死ぬ。残された時間は有限であり、決して無限ということはない。だからこそ効率的にはたらき、仕事でもプライベートでも充実した時間を過ごせるようにしたい。